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Friday, May 2, 2014

配偶者控除の廃止について

安倍政権で配偶者控除が話題になってから、議論が熱いようだ。

  • 廃止賛成の人の論点
    •  日本国憲法で勤労の義務があるのだから、働いて当然で、働かない人を優遇する理由はない
    •  所得税は個人にかけるのが当然。控除を受けたければ、働いて基礎控除を受ければ良い話で、健康で働ける専業主婦の分の控除は不要ではないか。
  • 廃止反対の人の論点
    • 同じ所得であれば夫婦共働きよりも専業主婦世帯の方が税額が高く、優遇されていない
    • そもそも、夫婦は同一生計であり、生活会計がどんぶりである。担税能力は、豊かさに応じて課税するわけだから、2人合算で計算する方が合理的ではないか

私は個人的には後者なのですが(家内は扶養ではないので恩恵は受けてないのですが)・・前者の方がなぜ廃止に拘るのかを考えてみました。よく言われるのは、

  • 単純に高所得者が優雅に暮らすのがおもしろくない
 という事ですが、これは結構ありそうです。で、もう一つ気がついたことがあって、

  • 廃止派の人達は「労働による所得である事を前提にしている」
 という事です。「個人に対して課税すべきだ」と声高に言う人は、「労働者ではない」人達の生活実態を全然想定してないですね。考えてみれば、労働者は、

  • 労働力を売ってその対価として給料をもらう
  • 労働法によって、労働の対価は「会社の指揮命令下で仕事をした時間に対して受け取っている」
  • 従って、労働は家庭とは切り離されており、夫婦の相互の貢献は直接的には関係ない
  • というわけで、給料は原則100%大黒柱がその知見と努力で稼いだものであって、夫婦で協力して築いたものではない
  • だから、専業主婦を養うのはソイツの勝手なので、控除など認める必要はない
という理屈なんだと思われます。そして。

  • 「働く」=「賃金労働をする」
と勝手に決めています。しかしながら、自営業者の生活実態は全く異なります。例えば、ある小さい八百屋を想定しましょうか。

  • 八百屋「やおはち」は、自宅兼店舗で経営されている
  • やおはち、の店主(経営者)は夫であり、収入は夫名義の口座で運用する
  • ただ、妻は客商売がスキではなく、専業主婦である。そのため給与はない。
  • 夫が朝、市場に仕入れに行っている間、妻が家の掃除のついでに店の掃除をして開店準備をする(専業でもそのくらいやるでしょ)
  • 11時に開店して店を開く。妻は店には出ない。
  • が、夫がトイレに行く間と食事の間、仕方なく店番をしている
  • また、夫が接客中に電話がかかってきたら、対応する
  • 夫が接客中にたまたま店にいったら、別のお客様が来たので対応する
  • 夫は外出できないので、妻は買い物のついでに郵便局や銀行の用事を代行する
  • 夜、夫が店を閉めて片付ける。その間は普通に家事をするが、夫が風呂に入っている時などに電話があれば対応する。
  • 税理士の先生が訪問されたのでお茶を出す
  • 夫が熱を出して動けない時、店は休むが、妻は最低限の外とのやりとりを代行する・・
自営業家庭では、妻は例え仕事に参加してなくても、労働者家庭では考えられないくらい夫の仕事を支える事をやっています。この人達には当然ですが、控除が適用されるべきです。大きな会社であれば、人を雇って、シフトを組んだりしてやることを、妻は人知れず支えているのです。上に書いた例では妻は直接仕事はしてないですが、夫を支えています。普通の会社なら、例え電話番でも給料を払って雇わなければやってもらえないことですが、妻は普通は無料でやってくれます。
給料を出せって?理屈の上では可能ですが・・上記のようなちょっとした手伝いくらいだと、給与計算する手間の方が大変で、非合理的です。逆に、がっつり貢献する前提で給料を出す場合や外で稼いで収入を得る場合は扶養から外れるので問題はなくなります。例に挙げたのは小さい八百屋、ですが、多くの自営業や零細業者では、このような「夫婦で支え合って生きる」のが当然のように行われているわけですし、それを超えるパターンはちゃんと別々に課税されるシステムになっています。

所得税が「労働者のための税制」なら、個人に課税!に反対する理由はないのですが、所得税は広くあまねく、「所得のある人」に対すて課税するのです。人数は多いとは言え、労働者は「所得を得る一形態」に過ぎません。労働者に合わせて所得税の設計をするのはオカシイと思います。労働者にも所得税を適用する限りは、給与所得者控除のような労働者対象の補正をする方が望ましいでしょう。

ただ「労働者だけ配偶者控除を廃止する」となると、それはそれでブーイングが起きそうです。

いろんなところで、議論に参加するのですが、労働者の皆さんはどうしても、個人事業主や零細企業の「公私混同が当たり前」「家族も協力するのが当たり前」という事情が理解できない(ハラに落ちない)ようです。私個人では、労働者は法律でがちがちに保護されているように見えるのですが、当の労働者自体は自営業者などに比べて損をさせられている(例えば重い税金を負担させられている)と信じている人が多く、議論がかみ合いません。私自身も10年と少し大きな会社や外資系企業でサラリーマンをやってたので、労働者としての発想も理解できます。が、一方で「いかに労働者が世間を知らないか(過去の自分が、ですが)」もわかるので、多分、「労働者の配偶者控除を止めよう」というと猛反発されそうです。

* 2014/5/5 修正。サラリーマン、労働者、給与所得者、とバラバラに記述していたのを、なるべく「労働者」に統一した。給与所得者は、会社役員も含むため、運営実態が個人事業主と変わらない3ちゃん経営の零細事業者が含まれてしまうし、サラリーマンではアルバイトや派遣労働者などの非正規労働者が外れてしまうため。なんとなく言葉のイメージ的には「サラリーマン」の方がしっくりくるんだが、「個人に対する課税が実態や法律上の定義と合っている」のは、「労働者によって賃金を得る」人たちなので、「労働者」としました。

** 2014/5/18意見修正
サラリーマンの場合、所得の帰属が単独にしかならない事を理由に、会社員の場合は配偶者控除を廃止してもいいのではないか、と書きました。が、生計の同一性を考慮すれば、やはりサラリーマン家庭であっても配偶者控除の存在に合理性がある、と考えるに至りました。ただし、いわゆる扶養内パートの人が受けている「基礎控除」は、夫の配偶者控除と重複するため、どちらか一方にする選択になると思います。そうすると、103万円の壁、は38万円減って、65万円の壁、になるのでしょうか。





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