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Sunday, January 4, 2015

マッサン

今日(2015.1.5)放送のNHK「マッサン」はなかなかよかった。
鴨居がマッサンに営業を命じるシーンだ。

「売るという事がどれだけ大変かやってみろ」という。
「実際にウィスキーを飲んだお客様がどんな顔をするか直接見ろ」という。

 そうだ。営業の仕事はどうも技術の人達から「簡単な仕事」「誰でも出来る仕事」「体力勝負」と卑下されている傾向があるようだ。特に製造業など技術系の会社では。
しかし、どんなに技術が高くても、売れなければ話にならない。 そこを軽く考えては商売はうまくいかない。

私も元はエンジニアだった。モノを作る人としてのプライドがあったと同時に、当時は営業の仕事は「やりたくない」仕事だった。知的な要素が低く、 ただお客さんのところに通って、愛想笑いをして下手に出て、飲みに付き合って、注文をもらう人だと。逆に言えば、自分のよりどころは知識と技術なので、それは休日返上でも頑張って勉強した。しかし・・手伝いの名目で営業部隊に派遣された・・・そこはビジネスの最前線。

伝聞のイメージとやって見ると大違いで、キチンとやれば営業は非常に知的で自由度が大きく、一方で「自分だけ」頑張っても何の成果も出ない。独りよがりは許されない仕事だ。愛想笑いだって、(時と場合によって)下手に出る態度だって、コミュニケーションをよくする手段に過ぎなく、実際に自分を卑下する必要など全くない。そもそも、そういう態度も含めて計算してやっている。何気ない雑談も、お客様から本音を引き出すリードの役割として振っており、計算して展開させているので、友人同士のおしゃべりとは異次元だ。横に座って聞いているだけだと、単なるおしゃべりに見えると思うが、ちゃんと計算されている。エンジニアの場合、そのプロジェクトに「直接関係のある」事を、「予め決まった土俵の上で」コミュニケーションすることが求められるわけだが、営業の場合、相手の社内(や組織、チーム)での立場・利害や思考のクセまで含めて推測し、それに応じたカードをお客様だけでなく社内とも切り合う非常に高度なゲームなのだ。「予め決まった土俵」以外での事情を読みつつ、しかし「土俵にうまく上げていく」ところがカギ。上げ方を失敗すると、他社にかっさらわれてしまうから。そして、土俵に上がったところで、やっと正面攻撃できるわけだ・・・・エンジニアが商談に入ってくるのはだいたいそのフェーズだから、その前のフェーズが見えないのも無理はないかもしれない。そもそも関心もない・・・まぁ、ここからは愚痴になるから止めておこう。

結局、営業で身を立てる事になった(というか、した、というべきか)。

それはいいのだが、営業とは言え、技術系の業界に身を置いている以上、「そういう目で見られる(体育会系の付加価値の低い仕事と見られる)」事からは逃れられない。自分自身は想定内のことなのでいいのだが(逆に利用することもある)、業界に慣れてない人だと、「エンジニア至上主義」的な風潮を嫌う人もいるだろうな。もったいないことだと思う。エンジニア至上的な思考回路でビジネスをやって失敗している例は快挙にいとまがないから。

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