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Saturday, October 8, 2016

電通新入社員の過労死に思う

電通で東大卒の新入社員が自殺した、という。
あまりに悲しい。

背景は、日本の会社の多くに共通する体質から来る問題だ、と考えている。これは会社だけの責任ではなく、社会システム、とりわけ雇用の問題が大きい。

日本人は、雇用の維持に重点を置きすぎてきたのではないか。雇用を維持するために、他のいろんな大切なことを捨ててきているのではないか。そんな気がしてならない。

日本の会社は人の流動性が低い、閉鎖的な組織だ。そして、人材市場(転職市場)が小さい上に未成熟なので、非常に閉塞感がある。彼女も「辞めればいいのに」という人もいるが、日本のように「生え抜き優先」が明らかな会社では、退職はせっかく東大出て積み始めたキャリアを棒に振ることを意味する。日本の大手企業に今と同様なエリートコースで転職することは、ほぼ不可能だからだ。また、年功序列制度の下では、転職者は下に扱われるので、もし転職できても一発逆転が非常に難しい。大手企業では、転職して入ってきて人を「外様」と呼んだりするくらいだ。つまりエリートであればあるほど、職を離れると失うものがあまりにも大きい。彼女もそんな中で、閉塞感に苛まれながら悶々としていたのではないだろうか。

彼女は弱かったかも知れない。エリートの道、を捨てたところにある人生が見えなかったのだから。しかし、せっかく最高レベルの大学を出た人材を「ムラの住民」に染めるような育成をしてしまう会社、また、そういう組織にせざるを得ない日本の雇用慣行に疑問を感じる。

しかし、多くの人には賛同して貰えないだろう。私が批判したいのは、(仕事がなくなって)解雇される事を「不当解雇だ」と感じる神経だからだ。

なぜなら、仕事がなくなっても解雇されない(終身雇用)−>企業は社員として人を抱える事を抑制せざるを得ない−>非正規や下請け、アウトソースに押しつける企業文化が生まれる−>社員は最小限だが、社員でないとできない仕事は多く過負荷になりやすい

これは、「仕事は会社から保証して貰うのが当然で、クビは不当」という事がもたらす弊害だからだ。

物事は「いいとこ取り」というのはできない。ブラック企業問題もそうだが、根本的には企業に過度に雇用リスクを負わせているが故の「しわ寄せ」だ。会社もただ単純にリスクは負えない。だから、その代わりに社員の自由を奪わざるを得ない。そして、自由のない人ばかりの組織で、自由を求める人は煮詰まってしまう。

となれば、この問題は当面解決しそうにない。残念だが、多くの人が実は解決など望んでいない(自分に一切の不利益がない形での解決しか望んでいない)からだ。悲しいことだ。

2016.10.11追記

なお、残業100時間こなしていた、という。若い頃やったことがあるが、感覚的には「ずっと会社にいる」「家は寝に帰るだけ」だ。逃げ場のない閉塞感が彼女を自殺に追い込んだのだろうと想像が付く。
場をコントロールできる側の人はそれ程のストレスはない。任意で100時間いるのだから。しかし、命令で、或いは強制・半強制的に「帰れない」状態というのは精神的に非常に厳しい。短期間ならまだわかるし、仕事の都合でやむを得ない事もあるだろう。しかし、長期間は無理だ。特に日本の会社は島型の机の配置でプライバシーがないので、マイペース型の人や波の激しい人には合わない。
彼女はどんな人だったのかわからないが、精神的に息抜きができず、追い込まれたのだろうと察することができる。
上記で雇用慣行の話を挙げたが、こういう「集団主義」で「マイクロマネージする」という労働慣行も彼女を追い詰めたのかも知れない。

彼女は新人さんだった。彼女は「型にはめられる」前に自殺を選んでしまった。型にはまって、状況に何の疑問も持たなくなれていたら、あるいは死なずに済んだかも知れない。

 個人的には、彼女の事が分かる気がする。大手企業に就職したものの、連日の残業、プライベートの時間などなく、疲弊していた。幸いだったのは、地方出身でそもそも東京には「戻りたくなる」プライベートライフがなかったので、「窮屈」さが恐らく和らいだこと(戻りたくなる場所がないし、遊びたい所もわからないし、会いたい友人もいない)、と、燃え尽きる前に企画部門に異動になって「連日深夜残業」状態から解放されたこと、一人で客先に奉公(常駐)に出された事から、会社や所属部門への所属意識が薄らいだこと・・・などがあって、燃え尽きずに済んだことだと思う。
その後、外資系企業に転職したのだが、外資も激務ではあったが、閉塞感は薄かった。会社は雇用を保証しないので、「どうせ保証なんかしないんだから、逆に無茶も言うな!」てな気持ちでいられたから。上司も含めて「どうせ10年はいないだろう」と思って働いているので、「会社や組織への忠誠」なんて誰ももっておらず、無理矢理組織に自分を合わせる必要もなく、それも気楽だった。彼女も外資なら追い詰められなかったのかも知れない。

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