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Sunday, May 21, 2017

誰に吹き込まれたのだろうか

安倍首相が日経ビジネスのインタビューで「生産性向上と人づくり」をやるという。まあ、それはいい。

 しかし、いただけないのは

>「製造業の有する生産性向上ノウハウをサービス業や地方の中小零細企業にも活用し、人材不足の解消などにつなげていきたい」

このくだりだ。一体誰に吹き込まれたのだろうか。

日本の大手製造業は、重層下請け構造になっていて、面倒を下請けに押しつける、という仕事になっている。自社は組み立てラインしか持たず、細かいモノは全部仕入れる、などしている会社もあるし、極端な会社では生産まで外注していたりする。責任逃れをしたいヒラメ社員が横行する大企業で、巧妙に責任を逃れられる仕組みを作って仕事をしているのが実態だ。一方で、サービスや販売は、下請けに出せず、面倒を自社で引き受けるのが前提の現場仕事だ。一体、だれがサービス業や中小企業にノウハウを伝授できるというのだ。そんな人がいたとしても、非常に限られた人材だろう事は想像に難くない。基本的には経営コンサルティングの領域だからだ。

大手企業の人間が中小に移籍すると、まず、仕組みかが未熟で属人性の強いオペレーションに驚くだろう。そして「だからダメなんだ」と合点して、改善を図ろうとするだろう。しかしである。それが上手くいかない事が多々ある。中小企業が大企業と同じ仕組みを入れると「過剰装備」になって、管理コストが膨らみ、中小企業ならではの長所である機動性を失って、失速してしまうのだ。製造業の生産性向上は「スケールする」ポイントを見つけてそれを仕組み化することで達成される。そのポイントが的外れなら、むしろ逆効果だと言う事だ。

さて、一体誰に吹き込まれたんだろうかね。それが気になる。おおかた、大企業の集まりの団体さんに聞いたんだろう。「自分たちはエリート」「中小は単なる下請けで、オレらの言いなりで部品作ってるだけ」という「大企業の奢り」を感じるもの。実際のところ、下請けなどの会社に失敗や判断ミスの尻ぬぐいまでしてもらっているケースが結構あるだろうに、見えないというのは恐ろしいなぁ。

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