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Wednesday, February 28, 2018

裁量労働制は、目標の付与とセット、でないといけない

国会で揉めていますね。裁量労働制の拡大。個人的には裁量労働制の拡大適用や緩和には賛成です。

ただ、日本企業の組織や文化、人事制度の下では野党の言うような「サビ残無制限法案」になる懸念も確かにあるな、と。野党の主張とは違う意味で。

日本の会社って「集団目標」で管理していますよね?。ですから、たとえある個人が目標を達成していたとしても部門で達成してないと、「おい、あいつを手伝ってやれ」「助けてやれ」になってしまう。部門の中に一人二人いるエースが、出来の悪い同僚のヘルプをせざるを得ない。そういう例は多々あるでしょう。或いは、社員の出来が悪いのだが、下請けに丸投げして全部かぶせる、とか。業務仕様書なんぞなしに「一式」でやっている請負作業、たくさんあると思います。

そういう企業文化の中で裁量労働にしてしまうと、ただでさえ業務負荷が集中しがちな優秀な人の負担が更に増えると思われます。全く報われることなく。なにしろ、そこを「なーなー」で済まさないと、出来の悪い社員を「出来が悪い」と明確にしなくてはなりませんが、それは副作用が大きいからやりたくない。とすれば、優秀なやつに負担を押しつけるしかない。出来が悪い社員でも、賃金と雇用が保護されているので切れない以上、抱える前提で対応するしかないから。

なので、裁量労働制を取るなら、「個人目標が全て」にしないといけません。会社が赤字だろうが、チームが未達だろうが関係なし。出来の悪い社員の後始末は管理職がやる。優秀な人に押しつけない。そして、目標は「あらかじめ、これを達成すればOK」というものを明確に定義し、合意し、それ以外の仕事は命じてはなりません。つまり、会社は転勤を含む業務命令権をある程度放棄しなければなりません。

もう一つは、「責任」です。営業の数字など定量化できるのなら、数字でちゃんと報いなければなりません。「高く査定する」というような間接的な評価ではダメです。年功も関係ありません。また、「責任を取らせる」事は必要です。未達なら減給や最悪クビもある状態にしないと。

こう考えると、従来の日本的な労働慣行とは相容れない部分があると思います。外資だと職種別採用で、目標なども日本よりははっきり決めた上で、成果が上がれば報いられ、上がらなければクビ、ですが、そういう形になる(あるいは近づく)でないと、バランスが取れないですね。

雇用と賃金の保護、維持で頭がいっぱいの野党と理由は同じではありませんが、裁量労働制を入れるなら上記のような事に配慮した上で導入しないといけない、と思います。つまり、裁量労働は「個人目標」とセットで、目標と関係ない業務命令を会社が返上しなければならず、また、賃金の不利益変更や解雇も緩和しないと成り立たない。なんだか、「残業時間」「残業代」の話ばかりクローズアップされているようで、気になったので書いておこうと思います。