Labels

hotel (65) mac (49) ubuntu (27) English (10) chinese (9) travel (6)

Thursday, April 9, 2020

コロナでリモートワークは進展するか

コロナでリモートワークを推進する流れになっているが、本当にこれがきっかけで普及するのだろうか。まあ、きっかけにはなるのではあるが、スムーズに、とはいかないだろう。

理由

1. 能力の低い人材が炙り出されてしまう
リモートワークを行う場合、一人一人の仕事の分担を明確にしなければならない。従来ももちろん分担はしていたのだが、オフィスにいて仕事をしていれば「なんとなく」各々の仕事の進捗がお互いに見え、上司から「おい、誰か手伝ってやれ」とかあるいは社員間で「大変そうだな、手伝おうか?」なんてことがあった。ところが、リモートワークではお互いの動きが見えにくくなり、「なんとなく」手伝うことがしにくくなる。結果、仕事の出来、不出来がハッキリするようになる。

2. #1の結果、デキル人の不満が増大する
#1の結果、他人の分担を手伝う、ことに対してデキル側の人の心理的な負担が増大する。マイペースで仕事ができる点がリモートワークのよい点であるが、「不出来な他人の仕事を手伝う、という割り込み仕事」が増えると不満が増大する。

3. 労務管理の問題が起こる
さて、「仕事がデキナイ人」が明確になれば、経営者の立場では「給料を払い続ける」合理性がない。日本の労働法制では「労働者は余程の事がない限り、無能でも適性がなくてもクビにならない。なぜなら、採用した以上、命令して働かせるのは雇用主側の責任。 その代わり、会社は指示する権限があり、労働者は従う義務がある」ということになっている。労働者は勤務時間、操り人形のように言われたことをやる、ということだ。
これを固い言葉で言えば「指揮命令の下にある時間が労働で、時間に対して賃金が発生」する、という仕組み。この仕組みをキチッとやるには「労務管理」を厳格にやる必要がある。
現状、会社に出勤している間(通勤時間は含まない)は指揮命令下とみなすとされているが、リモートワークの場合、「何を持って指揮命令下にあるとみなすか」が問題になる。自宅にいて、仕事の合間に洗濯物を取り込んだり、料理を作ったり、コーヒー淹れたりなんてどう考えればいいんだ?。
米国ならわかりやすい。ホワイトカラーは「成果出てないからクビね」「君、仕事できないからクビね」という事が可能 。会社としてはそこで縛る事ができるので、「自由にしてていいけど、成果だけはあげてね」と自由を与える事ができる。でも、日本は違う。従業員として使用して成果を出すのも全て会社側の責任だから、細かく指示を出してなんとか使わないといけない。だから、自由を与える事ができない。「指揮命令下にあるかどうか」が労務管理上重要なので(事故や労災の責任問題だから)、細かく監視もする必要がある。もちろん、現場で信頼関係のもとに実施されているケースはあるが、これは会社が法的なリスクを一方的に背負ってこそ成り立つ関係だ。小さい会社でも実施されているケースがあるが、小さい会社では「雇用の保証」を期待していない従業員が多いこともあり、法的な問題になりにくい、と経営者が判断してのことだろう。大企業だと「制度」として運用するので、どうしても制度の隙間をついたフリーライダーが出やすい。日本で(特に大企業で)テレワーク・リモートワークが進まない一つの理由は、この「企業側が一方的にリスクを負う」ことにあると考えている。

今、コロナ を契機にリモートワークを行う会社が増えてはいる。ただ、なし崩し的にだ。これを定着させるにはハードルがある。たとえ従業員側が望んでも、会社としてリスクが高すぎる。私は、従業員・労働者側が「雇用の保証」を放棄してこそ得られるものだ、と考えるが如何だろうか。

No comments: