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Thursday, August 31, 2023

そごう・西武でストライキ

 昨日、何十年ぶりかで池袋のそごう・西武百貨店でストライキがあったという。株主であるセブンアンドアイが、外資に売却するのに反対するのだそうだ。

ストは権利なので、要求があればやるのは自由だけど「大丈夫か?この人たち」と思わざるを得ない。この店は過去4年間赤字だそうだ。コロナ禍は終わったものの、百貨店と言う業態自体にあまり将来性はなさそうだ。コロナ前は中国人観光客の爆買いの恩恵も受けていただろうが、それに依存する経営は問題がある。中国はカントリーリスクが高く、日中間で少しもめ事があるとスグに交渉カードとして輸出入止めたり観光客止めたりするので依存するような経営をしてはいけないと思う。景気は上向きと言うが、活況なのは低賃金の現場職で、かつてのような「分厚い中間層」は今後期待しにくい。AIやネットの普及でかつてほど「中間層のホワイトカラー」は求められない。池袋は東武西武と埼京線のターミナルだけど、沿線住民は(東急のような)お金持ちではなく中間層であり、今後、没落していく可能性が高い層だ。

そう考えると、あの場所で高級路線の百貨店にあまり将来性はないだろう。縮小するのが正解だ。

で、訴えているのが「雇用の維持」なのか?。

あの建物がヨドバシに変るのであれば、「私たちは店舗での販売のプロ。お役に立てるはずなので、買収するならちゃんとヨドバシの店員になる研修を受けさせてくれ」というのならわかる。それなら「世の中の流れについていこう」という意思が見えるから。でも訴えるのが「百貨店の(そのままでの)存続」「雇用の維持」って?。「しんどい事はしたくない。今の仕事が楽だから、そのままで給料欲しい」と言っているだけにしか聞こえない。

これじゃ・・・ダメなんだろうな、と。日本のサラリーマンがいかにプロ意識が低いかを見せつけられているような気がした。

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追伸、その後いろいろネットコメントを見ての感想。私のような系のコメントに対して「労働者の正当な権利行使に文句を言うのか」「明日は我が身な人が多いのに労働者の味方にならない人はどうよ」みたいな意味のコメントを結構見かけた。

それらについて思った事。

まず「労働者の正当な権利」である事は正当な手続きを経て行ったのだからよいだろう。しかし、訴えの中身と矛盾してしまう。なぜなら、今回の訴えの柱のひとつは「雇用の維持」である。ところがこの百貨店は4年間赤字であり、企業は「正当な権利行使」としてリストラしうる状態である。今回のストに対して「労働者の正当な権利行使に文句を言うな」というのであれば、企業の正当な権利行使にも文句は言えない。そこまで考えないのか。

もう一つ「明日は我が身なのに」という人。明日は我が身だと思うなら、備えなければいけない。つまり、「会社がなくなっても転職や起業して生きていける」ように自らの価値を高める事をしなければいけない。明日は我が身ならそこが大事だけど、備えている人がどれほどいるだろうか。ほんの一握りではないだろうか。何年も赤字の会社と言うのは倒産の危険がある。倒産したらストライキは意味がない。「明日は我が身」と思うなら心配するポイントが間違っていると思う。

ところで話は変るが、今回、セブンアンドアイから一旦外資系ファンドに売却され、その後、ヨドバシに転売するという。で、外資系ファンドが儲けると。これ・・・多分・・・外資系ファンドがリストラするんだよね。でなければ一旦外資に売却する理由があまりない気がする。なぜ外資になるかというと、ヨドバシが直接リストラできない、と判断しているからだろう。なぜできないか・・・これが問題だろう。日本ではリストラに対する抵抗感があまりにも強いので、断行すると企業イメージがダウンしてしまう。そごう西武もヨドバシも従業員をリストラすると、他の店舗の従業員が動揺して業績に影響が出てしまう可能性がある。そこで「第三者」にリストラしてもらう。その結果外資を儲けさせることになる訳だ。

この転売スキームが打たれ弱い「従業員のお気持ち」に配慮したものだとしたら、まったく情けない。「一丁やったるかぁ!」という心意気もなく目の前の職を確保するのに汲々としているだけで世界と戦えるわけがない。日本人の給料が長年上がらなかったのも納得だ。

今は人手不足もあるし、経済的には好景気の予感がある。が、受動的に使われるだけでは名目上の給料は上がっても「相対的に」は上がらない。結局景気には波があるし、「強さ( 転職できる力量、起業できる力量)」がないと波をもろにかぶってしまう。大手企業に就職すること自体はいいと思うのだけど、安泰を目指すのではなく、「大きな仕事をする」指向であるべきだと思う。で、その会社で「大きな仕事」ができそうにないならどんどん飛び出して挑戦するべきだ。安泰を指向すると「現在の目先の地位(や出世)」を守ることで頭がいっぱいになり、大局を見誤る。池袋そごう西武の労組がまさにそうではないか?。「百貨店という業態のオワコン化」に対処しようとせずに、現在の地位を守る訴えをするんだから。