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Thursday, April 30, 2020

ほんの少しだけおセンチに

3年間借りていた事務所を本日撤収しました(鍵を返した)。今まで事務所の引っ越しは何度もやっていますが、その都度、ちょっとウルっとした気持ちになりますね。
駅のすぐそばのマンションの一室(というか二室でコネクティングルームになっている)。郵便局や銀行も近いし、駅の改札にもとても近くて便利だった。窓からの眺めも気に入ってた。ちょうど木があって緑の葉が目に心地よく、一方で駅の反対側にオフィスビルがたくさん建っていて、都会の雰囲気もある。ただ、線路に面しているので電車は煩かったけれど。

息子が自立して家を出るのを契機に、空いた子供部屋に事務所を移転したわけだけれど、広さは半分以下になったのでいろいろ捨てるものも多かったかな。でも、事務所の経費分まるまるコストが下がるのでずいぶんと助かる。

ちょうどコロナ騒動の最中だったので、無事に撤収できるかどうか心配だった。実際、リサイクル業者などもコロナ休業に入るタイミングで、もう少しタイミングがずれていたら撤収できなかったかもしれない。まあ、何とか無事に済んで良かった。

最後に気に入っていた窓からの景色をデジカメで撮影した。で、今パソコンのデスクトップの背景にしている。 築50年近い古いマンションで、設備系が弱く、もしまた事務所を借りるときにも戻ってくることはないだろう。でも3年間お世話になった。ありがとうございました。

Saturday, April 25, 2020

続 コロナでリモートワークは進展するか

面白い記事見つけた。

リモートワークのパソコンを会社の方で監視するシステムについての記事。
この記事をもとにして掲示板では、ブーイングが起きているわけだが。そもそも、会社には労務管理を厳密にやる義務が課されているわけで、リモートワークではそれが達成しにくい。営業の出張などとは違い、リモートワークでやる仕事は「本来は、会社でやる仕事」なんで、ちゃんと管理しなければいけない。だから、「キチンとホワイトに管理しようとをしたら」このような仕組みを入れざるを得ない。

それもこれも、「雇用を保護するため」なんだけどね。日本の労働法制では「会社は従業員を原則任意では解雇できない」ことになっている。でも、それじゃ人なんて雇えないよね。だから、「その代わり」がある。「その代わり」は、
  • 会社の指示には(違法でない限り)なんでも従う
  • 異動や転勤も拒否権はない(拒否すれば解雇可能)
従業員は、仕事に対する成果の責任を負わなくてもいい代わりに、会社の指揮命令に服する間は、会社の操り人形と化してなんでも言うことを聞かねばならないのだ。そうしてこそ保護される。つまりだ、テレワークでもそれは同じなのだから、いくら自宅にいようとも、「仕事以外のことはしてはいけない」し、会社はそれを確認する手段が必要なわけだ。勝手に離席して、テレビみたり、夕食の買い物に行かれたら、「労働」させている意味が薄れる。なにしろ会社には勤務時間中、なんでも命令できる権利があるんだから。

アメリカの会社では、(少なくともリモートワーク可能なホワイトカラーに)こんなアホなことはしてない。しなくてもいい。だって、アメリカの会社は「ジョブ型雇用」なんで、そのポジションに応じた成果あげないとクビなんで。「やり方も時間も任せるから、成果あげてね。でも成果上がらなかったら責任は取れよ」ということ。でも、日本の会社はそれが許されてない。だからこそ、管理が必要なんだ。家にいるのに「今日は12時間働きました!」って申告されても・・ということだし、勝手に残業して「過労死しそうだ」と訴えられても管理してないと会社が悪いことになってしまう。 会社としてそれは認められない。

コロナ を契機にリモートワークの導入や議論が盛んだ。でも、ほとんどの議論がこの大事なところをスルーしている。ベンチャー企業での成功例なんか出てくるが、ベンチャー企業はそもそも「ダメならクビね」という状況を受け入れた人を採用している。残業代だって「なし」という前提。その代わり基本給厚くして「みなし残業」にしちゃって、それを超えても補填はしない。残業したのに「払わない」というのは違法だけど、それを受け入れた上で入社してる。普通の大多数を占める日本人の労働観とは違うアメリカンな世界なんだ。

 自由が欲しいなら雇用の安定は捨てねばならない。なんでわからない人が多いんだろう。


 

Thursday, April 9, 2020

コロナでリモートワークは進展するか

コロナでリモートワークを推進する流れになっているが、本当にこれがきっかけで普及するのだろうか。まあ、きっかけにはなるのではあるが、スムーズに、とはいかないだろう。

理由

1. 能力の低い人材が炙り出されてしまう
リモートワークを行う場合、一人一人の仕事の分担を明確にしなければならない。従来ももちろん分担はしていたのだが、オフィスにいて仕事をしていれば「なんとなく」各々の仕事の進捗がお互いに見え、上司から「おい、誰か手伝ってやれ」とかあるいは社員間で「大変そうだな、手伝おうか?」なんてことがあった。ところが、リモートワークではお互いの動きが見えにくくなり、「なんとなく」手伝うことがしにくくなる。結果、仕事の出来、不出来がハッキリするようになる。

2. #1の結果、デキル人の不満が増大する
#1の結果、他人の分担を手伝う、ことに対してデキル側の人の心理的な負担が増大する。マイペースで仕事ができる点がリモートワークのよい点であるが、「不出来な他人の仕事を手伝う、という割り込み仕事」が増えると不満が増大する。

3. 労務管理の問題が起こる
さて、「仕事がデキナイ人」が明確になれば、経営者の立場では「給料を払い続ける」合理性がない。日本の労働法制では「労働者は余程の事がない限り、無能でも適性がなくてもクビにならない。なぜなら、採用した以上、命令して働かせるのは雇用主側の責任。 その代わり、会社は指示する権限があり、労働者は従う義務がある」ということになっている。労働者は勤務時間、操り人形のように言われたことをやる、ということだ。
これを固い言葉で言えば「指揮命令の下にある時間が労働で、時間に対して賃金が発生」する、という仕組み。この仕組みをキチッとやるには「労務管理」を厳格にやる必要がある。
現状、会社に出勤している間(通勤時間は含まない)は指揮命令下とみなすとされているが、リモートワークの場合、「何を持って指揮命令下にあるとみなすか」が問題になる。自宅にいて、仕事の合間に洗濯物を取り込んだり、料理を作ったり、コーヒー淹れたりなんてどう考えればいいんだ?。
米国ならわかりやすい。ホワイトカラーは「成果出てないからクビね」「君、仕事できないからクビね」という事が可能 。会社としてはそこで縛る事ができるので、「自由にしてていいけど、成果だけはあげてね」と自由を与える事ができる。でも、日本は違う。従業員として使用して成果を出すのも全て会社側の責任だから、細かく指示を出してなんとか使わないといけない。だから、自由を与える事ができない。「指揮命令下にあるかどうか」が労務管理上重要なので(事故や労災の責任問題だから)、細かく監視もする必要がある。もちろん、現場で信頼関係のもとに実施されているケースはあるが、これは会社が法的なリスクを一方的に背負ってこそ成り立つ関係だ。小さい会社でも実施されているケースがあるが、小さい会社では「雇用の保証」を期待していない従業員が多いこともあり、法的な問題になりにくい、と経営者が判断してのことだろう。大企業だと「制度」として運用するので、どうしても制度の隙間をついたフリーライダーが出やすい。日本で(特に大企業で)テレワーク・リモートワークが進まない一つの理由は、この「企業側が一方的にリスクを負う」ことにあると考えている。

今、コロナ を契機にリモートワークを行う会社が増えてはいる。ただ、なし崩し的にだ。これを定着させるにはハードルがある。たとえ従業員側が望んでも、会社としてリスクが高すぎる。私は、従業員・労働者側が「雇用の保証」を放棄してこそ得られるものだ、と考えるが如何だろうか。