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Thursday, November 30, 2023

少し前にパパンが亡くなった

 2023.11.30

少し前に父親が亡くなった。大学卒業と同時に家を出てうん10年と経っていて、遠く離れて生活しているので日常的にはあまり付き合いはなかった。それと、決して悪人ではないのだが少し職人気質で神経質なところがある父親が苦手でもあった。だから、用がない限り訪問する事もあまりなく、実際に会うのは数年に一度、くらいだった。

しかし、1年と少し前に状況が変化。元々がんを患っていて病院通いだったのだが、がんが彼の体を蝕み余命半年と言われたところから、ちょこちょこと実家に顔を出すようにしていた。その後、入退院を繰り返し、数か月前から入院して、そのまま帰らぬ人となった。

もともと亡くなる3週間ほど前に病院を訪問しており、長くない事は承知であった。また、元々その日に「もしかしたら最後かもしれない」と訪問予定であった。朝出発の支度をしているところに母親から連絡があり、時間を繰り上げて新幹線に乗って行ったのだが・・・残念ながら1時間ほど間に合わなかった。病院に駆けつけたときには冷たくなっていた。

そのままお通夜葬式となり、喪主を務めた。笑顔の写真を遺影にした。ナカナカいい笑顔で写っている。

淡々と式は進んだ。読経の最中に思い出がよみがえって少し涙は出たのだが、あまり涙は出なかった。悲しいとかよりも、「亡くなった実感」を持てなかったように思う。

その後、四十九日の法要があった。そして、大量の個人の所有物だ。多くはカメラと写真用品(アナログ時代のカメラマンだった)、そしてオーディオ(これは趣味)だ。甥っ子や弟と協力してかなり処分したのだが、それでもまだ大量に残った。残りは母親がボチボチと処分するそうだが、また行く事になるだろう。

形見分けとしてカメラを一つもらってきた。私は子供の時から「カメラと写真」の家で育ったので、父親のイメージと言えばカメラなのだ。ただ、プロ仕様のカメラは大きくて置く場所もないので、比較的新しい小型のデジタルカメラをもらった。電池を入れ替えたら、ちゃんと動作した。最近は写真と言えばスマホなので、ちょっと新鮮だ。

最初にも書いたが大学卒業で家を出たし、学生の頃は家にあまりいなかったこともあり「父親の思い出」と言えば子供の頃の思い出が多い。長男だったせいか理不尽に怒られたこともある。ただ、頑張って思い起こしたところで、彼の80年を超える人生を考えるとほんのゼロ点数パーセントのものに過ぎず、彼の99%を自分は知らない。自営業から始めて零細企業ながら社長として仕事をしてきた人だからそれなりの人生があったと思うが、そのほとんどを実子の自分も知らないんだな・・・と改めて思った。そして、人生って儚いものなんだな、とも。

実家の彼の部屋は彼の人生80年の集大成のはずだ。しかし四十九日を過ぎると残ったものたちがどんどんと処分されて、それとともに彼の気配も消えていく。少し寂しい、という気持ちが湧き上がってくるが、それも数秒か数十秒で消えてしまう。

そう考えると、自分の人生も「好きなように生きたもの」が勝ちなんだな、と思える。仕事が好きなのでそれはそれでいいとして、もっと海外や国内旅行に行っておこう、と思った。