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Sunday, January 31, 2021

楽天UNLIMIT-VIは高度に戦略的な料金プラン

 楽天Unlimit VIが発表された。神プラン、と言われているが、無制限2980円のラインは維持されている。2480円とか、1980円を期待した人が多かっただろうが、楽天はあえて2980円を維持した。
ふとひらいめた。「おお、なるほど!」と。楽天は非常に戦略的にこの価格を出してきている。

まず、この料金プランは段階的だ。使えば2980円になるが、利用量が少なければ1980円とか980円だ。しかし、今のところ「20GBでストップ」「(自社回線については)低速モード」などの機能はなく、際限なく使えてしまう。これが#1。
そして、多くのYoutuberが「副回線」としての利用をお勧めしている。つまり、主回線をAhamoやPovoにして、副回線として楽天を使用する事を推奨している。これが#2。

するとどうなるか。2回線もちの人は、まず主回線のデータを消費しようとする。料金を抑えようとするなら、楽天の方はデータ消費を抑える事を考えるから。うっかり消費しすぎると料金が発生するから。すると、楽天は回線を増やしてもインターネット設備の増強ペースを抑えられるので、その分、基地局の投資に回す事ができる。一部のヘビーユーザーは楽天回線を主に使うだろうが、それ以外は主回線に流れる、という算段だろう。これを、例えば2480円とか1980円の定額だとそうはいかない。ユーザから見るとどちらを使っても同じならそれなりに使う。楽天は段階的料金で「トラヒック(インターネット設備負担)の軽減」を狙っていると思われるのだ。

例えばUQのプランで考えてみる。
UQくりこしプランSを主回線だとする。1480円。3GBまでなら、楽天0円で1480円(UQの3Gを使うだけ)。
5GBなら、どうだろう。3GBまではUQ。5GBまで使おうと思うと+1000円で2480円になる。超過分2GBなので楽天は980円だから、合計2460円でほぼ同額(20円差)。
10GBなら、どうだろう。UQならプランRの2480円だが、楽天だと1980円プラスでUQ(プランS)と合わせて合計3460円になる。UQ回線使った方が安い。
20GBなら。UQならプランLの3480円。楽天だと10GBと同じで3480円で同程度。
で、それ以上なら楽天の方が安い。

主回線がPovoやAhamoならこうやって比べるまでもなく、誰もがPovoやAhamoの容量を使い切るまではそちらを使って、不足分だけを楽天で補おうとするだろう。


つまり、楽天は単独で使えば安いのだが、主回線と組み合わせると20GBまでなら(楽天ではない)主回線を主に使った方が安くになるように料金設定されている。それにより、「大盤振る舞い」に見えて、実は「自社のデータ回線があまり使われない」ようになっている。これによって、次の効果がある。

  • 「繋がりにくい」ため、副回線としてしか使用されない
  • が、料金が魅力なので、データをあまり消費しないユーザを多く獲得できる
  • 繋がりやすくなって主回線として利用されるようになれば自動的にahamoと同じ料金が取れるし、繋がりにくく副回線のままなら(トラヒックがpovoやahamoに流れるので)利用を抑えられるので設備投資が少なくて済む
  • auパートナー回線が5GBしかないが、副回線で使う人は文句は言わない。(文句言うのは携帯オタクだけ)
  •  つまり、基地局建設が遅れても、プラチナバンドが取れなくてもダメージ(設備負担)が少なく、さらに、使わなければ無料なので解約もされない。一方で、順調に進めば料金が自動的に増える。

 

自社が「繋がりにくい」という評判やahamoやpovoの料金体系を逆手に取った料金プラン。確かにこれなら、2980円を値下げする必要はない。天晴れというほかない。


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