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Sunday, May 29, 2011

内閣府「世界経済の潮流2011」の「全球一体化」について

内閣府の「世界経済の潮流2011」という報告書に、世界経済が一体化する「全球一体化」という現象が進むという指摘があるという。

私が約15年ほど前に考えていた事が実現しつつある。

当時、既に「グローバル化」とか「ボーダレス」という単語はあったように思うが、それが「自分の給料」にどう直結するか、多くの人はイメージできなかったように思う。私は当時、「エントロピーの法則」(ジェレミー・リフキン著、祥伝社、1990)という本と出会い、その衝撃から逃れられなかった。ボーダレス社会で何が起こるか、を具体的にイメージできたのだ。

当時、国内企業に勤めていた私は、「やがて隣国の人たちと仕事の上で競争することになる」と考えて、グローバルな労働市場で通用する人間になりたくて外資系企業に転職したのだ。その後を考えると、自らの判断は正しかったと思う。当時の仕事はオフショア化が進んで市場価値が下落。当時から3Kと言われた仕事は今も変わらず3Kで、海外同業者との激しい価格競争にさらされている。

ただ、当時の予想ほどボーダレスは一気には進まなかった。理由は二つだと考えている。
  • コミュニケーションの問題
  • 国家間の規制による労働市場の問題
つまり、「日本人は多少高くても日本人と取引したい」という傾向が強く、思ったほどコスト指向ではなかった、という事。と、国をまたがった際は国内とは違う様々な事情がある、という事。後者は、つまり、「大阪に事業所を作る」のと「マニラに事業所を作る」のは全く難易度がが違う、という事だ。この2つの障壁は徐々に低くなってきてはいるが、まだまだ厳然として存在する。

さて、心配なのは日本人の多くは、この「全球化」をあまりイメージできてない事だ。「目の前」で起こってないからだ。しかしやがて、この全球化は日本人の賃金水準を押し下げることになるだろう。実際に額面が下がるのではなく、他の国に追いつかれる、という形で。そして物価が上昇するように見えるだろう。

労働法によると、賃金の引き下げなど労働者に不利益な労働契約の変更には規制があるようだ。しかし、物価の上昇にって生活が苦しくなることはカバーしようがない。賃金の下方硬直性質の影響を受けにくい人たちから順に影響を受ける。つまりまず、自営業や(独断の競争優位のない)零細企業と、パートなど非正規労働者で、次が中小企業サラリーマン、後に大企業のサラリーマンと公務員の順に影響を受けていくことになる。一方で、国際的なレベルでビジネスを運営できる管理職や専門職、優秀な法人ビジネスの営業マンなどは現在の賃金水準を維持向上できる余地がある。全球化の下では「格差」が拡大する。よく小泉政権下で格差が拡大した、などと言われるが、そんな甘いものではない。あの頃は、「派遣法の改正」によって低付加価値労働が正社員から派遣に置き換わったが、正社員は既得権益として守られた。しかし、それも続かないだろう。まず契約社員化、有期雇用契約化が進み、それでも吸収できなくなると法律が変わり、企業の解雇権や不利益変更権が強化されるだろう。

法律が変わることに戦々恐々しても仕方がない。というかバカげている。そもそも法律で守られなければクビになる人材は、海外ならとっくにクビになっているのだ。心配すべきは、危機意識とかプロ意識に乏しく「サラリーマン根性」に毒された「自分自身の労働観」であることに早く気が付くべきだ。でなければ「全球化」が進めば会社に居場所がなくなるのは間違いない。会社もだんだんと外資系(米系)に近いオペレーションになっていくだろう。それが幸せかどうかはわからないが、そうならざるを得ない、と考えている。

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