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Tuesday, April 23, 2013

年収100万円

ユニクロの柳井社長がインタビューに答えて「年収100万円でもおかしくない」と発言したのが物議を醸しているらしい。同時に「日本の店長の給料は欧米と比べて決して高額ではないので、日本の賃下げすることは考えていない」と言っているのだが、そっちはかき消されて「年収100万円」が一人歩きを始めている。

正直なところ、柳井社長に同意せざるを得ない。確か1995年かその頃だったと思うけど、「エントロピーの法則」という本を読んだ。エントロピーの法則は熱力学の第二法則なのだが、すべてのエネルギーは最後に熱になって、熱平衡状態になる、というものだ。

これを読んで、当時言われていた「ボーダレス社会」を想像して、愕然としたのを覚えている。今で言う「すべてはフラット化する」のと同じ理屈だ。労働者は「グローバルレベルでビジネスの管理をする層」と、各々の国や地域でローカルのオペレーションを担当する層、に別れ、その収入格差は同年代でも5倍、10倍になるだろう、・・・と予想したのだ。なぜなら、ボーダレス社会では、労働力の移転が容易になるため、特にスキルや能力がない人の給料は「地域最安値」に漸近線を描くしかない。

これを想像して、私は外資の会社に転職し、グローバルレベルのオペレーションとやらに参加してみることにした。幸い、手に職があり、外資の世界に潜り込むことが出来た。その後を見れば、極端な変化ではないが、それでも変化は確実に進んだ。「派遣社員」が増えて、特にスキルのない一般職の主に女性の給料が下がった。賃金は上がらなかった。社内格差は拡大しなったが、その代わり、大企業の正社員が狭き門になってしまった。結局、既得権者のオジさん達の給与を守るため、若者にしわ寄せが来た格好だ。予想とは異なる状態ではあるが、そのオジさん達も風前の灯火ではある。

私は「ボーダレス」が進むと好むと好まざるを得ず、格差社会にならざるを得ない、と考えている。厳しいと言われる外資の世界のような感じだ。それが日本型の経済システムとは違うと言っても、適応しなければならならず、適応できなければ今の生活水準は維持できない。そう考えると、ちょっとサービス残業が多いくらいで自分の勤務先を「ブラック」などと言っている場合ではない。労働者が自らを鍛える事を怠っている間に、他国の労働者に仕事を持って行かれてしまうのだ。既にコールセンター業務など、そうなっている分野もある。労働者に有利な条件の現行の労働法は、一方で、労働者を「世界では通用しない」存在にしている可能性もある。そういう事も考えてみた方が、いいと思うな。


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