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Friday, October 21, 2016

非正規社員問題では、「外野」から「努力しろ」というだけの正社員がたくさんいる

某掲示板でよく議論になる、「貧困」「格差」「非正規労働者」「女性の社会復帰」などの問題。ここの手のトピックでは必ず「努力すればいい」「ダメなのは努力が足りないから」と声高に主張する一群の人たちが出現する。

この人達の多数は恐らく、有名大を卒業して大手企業に勤めているのだが、中には貧困家庭に育ちながら文字通り努力で克服したヒトも混じっているからやっかいだ。この手の人たちは体験があるだけに信念が強固だ。

社会は理想郷ではないので、あちこち矛盾した制度が混在しており、必ずしも平等でも公平でもない。更に言えば「何を持って公平とするか」という定義すらない。「ある一人の不幸な人」がいた場合、社会が変わらないのなら本人が克服するのは仕方ない事ではある・・・が・・・「強い立場にいる人」に限って「努力が足りないのでは?」という事を主張する傾向が強いように思われる。

もちろん、「目の前の現実」に対応するには、頑張るしかない事もある。それはそれで仕方のないことだ。しかし、「頑張れば解決」ではないだろう。

思うに、有名大学を出て正社員として大企業に勤めている人は、「自分は努力してきた」「今も努力を続けている」から、「今の地位がある」「今の給料がある」と思っているだろう。しかし、実際は違う。「窓際族」を見れば明らかだ。推定600万人はいると言われる「社内失業者」の存在も、「努力の結果」がウソである事を示している。日本の労働法は、会社が余程の危機に陥らない限り解雇を許していないため、「明らかに向いてない仕事をしている人」がワンサカいる。そして、会社が「より向いている人を労働市場から調達」する事が妨げられている。

つまり、失業者や非正規の立場に甘んじている人の中には、本来就業できる能力やスキルがあるのに、席が空かないから正社員になれない、人が一定数いるのだ。これを放置し、スキルのない正社員を淘汰し、より向いている人を迎える仕組みをもたないままに、「努力しろ」というのはあまりにも酷であろうと思うのだ

ところがこう書くと「そんな優秀は非正規はいない(見たことがない)」「社員とは責任の範囲が違う」・・・などと、ともかく「実際に正社員に登用される人がいるのだから、道はあるではないか」「そのようなシステムは必要がなく、単に非正規の人が努力すればいい」という主張をする人が大勢いるのだ。

しかし・・・よく考えてみれば、その意見は根本的にオカシイ。そもそも、企業が一方的に解雇・賃下をすることを規制しているのはなぜか。「労働者は弱者であり、会社は強者であるため、保護しなければ生活が不安定化するから」だ。とすれば、保護すべきは弱者であって強者ではない。努力の結果実力を付けて正社員(強者)になれば保護を受けられる・・のは本末転倒だ。実力があるのだから会社はおいそれと解雇はしないし、実力があるのだからポストにも就きやすい。そのような人に保護を与える必要があるとは思えない。

そう考えると、正社員化のハードルを下げて金銭解雇を解禁した方がよいと思うんだけれども。個人的には数ヶ月分の給与相当の手当で自由解雇できる、のが合理的だと考える次第。非正規には「努力」を要求しておいて、金銭解雇に反対している人は、「自分も解雇されないように努力すればいいだけ」という事を忘れているように思う。根性主義だが、「自分は例外」なんだな。

*ちなみに、こういうことを書くと、「だからオマエは非正規なんだ(正社員になれないんだ)」「正社員は責任が違う。オマエにはわからないだろう」などと、非正規社員だと勘違いされます。もともとイチブジョージョー企業出身だし、外資系企業もいくつか渡って管理職までやったし、今は小さい会社だけど経営しているんで、大抵の正社員より経験はあるつもりなんだけどなぁ。

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